自作サイトは“安物買いの銭失い”?経営者が本業を止めないための正しいWeb戦略
これは事実です。
しかし、「作る」ことと「成果を出す」ことはまったく別物です。
目先のコストを抑えるために自作に踏み切ると、経営者や社員の貴重な時間が奪われ、本来注力すべき事業成長の機会を逃しかねません。結果として「安物買いの銭失い」となり、長期的な損失につながるケースも少なくありません。
さらに、日本の企業は「つくること」だけでは生き残れないという現実もあります。
この記事は、制作会社に依頼してもらうことを願ったものではありますが、ウェブサイトを自作することで本業を失敗してほしくないから書いています。
自作の前に知るべき「企業の生存率」という現実
日本の企業は開業後の1年以内の生存率は約95.3%、5年後には81.7%と約2割が廃業しているという統計があります。
(中小企業庁まとめ、帝国データバンク「COSMOS2」のデータより)
| 期間経過 | 生存率(目安) |
|---|---|
| 1年後 | 約95.3% |
| 2年後 | 約91.5% |
| 3年後 | 約88.1% |
| 5年後 | 約81.7% |
経営者であれば少なくとも1度は耳にしたことがあると思います。
廃業に至る要因は様々なため、今回ご紹介するウェブサイトを自作することでの本業への損失が全てでは有りませんが、一つの要因にもなり得ると考えられます。
アンドステッチでは長年に渡り多くのクライアント様のサイトを制作していくうえで、自作をして多くの時間を消費されていることを目の当たりにしております。
ブログや事例などの自社コンテンツを投稿していくことは時間をかけて積み上げていくべきものですが、デザインやコーディングなどに時間を使うことは損失でしかないと感じています。そのため、このような記事を今回書いております。
自作しようかと考えている経営者様は必ず1読してください。
自作の前に理解すべき「ウェブサイト構築の複雑性」
現在、自作でサイトを作る方法はいくつかありますが、どの方法を選んでも知識・労力・時間が必要です。
CMSを使う(例:WordPress)
CMSとはコンテンツ・マネジメント・システムの略称で、文字通りコンテンツを(自分で)マネジメントするシステムということです。
ブログや会社概要などを自分で作成・修正できるシステムです。デザインの調整なども可能です。
- 無料・有料テーマを活用し、PHPやCSSを編集してオリジナル化可能
- 拡張性が高くSEOにも強い
- ただし、管理・更新には技術力が必要
ノーコードツールを使う(例:Wix、STUDIO)
管理画面上で、カーソルでブロック要素などを動かし、写真やテキストを直感的に追加できるツールです。
- ドラッグ&ドロップで簡単構築
- コード不要でデザイン性も高い
- ただし、拡張性・SEO・細かな調整には限界がある
HTML / CSS / JS による完全自作
ウェブサイトを作るうえで必要なマークアップ言語です。タイトルや文章の追加、画像の追加、レイアウト調整といったことをhtml,cssを使うことで自由に構築できます。
- 完全オリジナルで制作可能
- 技術力と膨大な時間が必要
- 運用・保守も自己責任
AIを活用した自作
近年では、AIでデザインやコーディングなどを生成できるようになりました。
- 文章だけである程度作成可能
- 技術・知識が乏しくても作成可能
- 発展途上で品質にムラがある
どれも共通して言えることは、自作=「無料」ではなく、自分の時間とリソースを投資して制作・運用することです。
AIを活用した自作については文章で作っていける手軽さがある反面、まだまだ精度は低く、いいものを作り上げるためにかなりのキャッチボールが必要です。これこそ時間を無駄にする可能性が高いです。
本業の成長機会を奪う「知識と学習のコスト」
ここからが本題です。
成果を出すためには、デザイン・SEO・セキュリティ・マーケティング・法務まで、多角的な知識が必要です。
初心者がゼロから習得しようとすると、数百〜数千、数万時間単位の時間がかかります。
培ったものは役に立ちますが、形になるまでにかなりの時間を消費し、成果に繋がるには膨大な時間が掛かる可能性があります。
その時間があるならば経営計画や事業戦略、人材確保、コスト削減、資金調達など、色々やるべきことがあります。
PRとよい受け皿を用意することは大切ですが、本当に自作するべきかは一度考え直した方がいいです。
制作に必要な内容をすごく簡単に部分的に紹介します。学習にどれだけのコストがかかるのかイメージしてみましょう。
| 分野 | 必要な知識の例 |
|---|---|
| デザイン / UX | レスポンシブ対応、配色理論、アクセシビリティ、UI設計 |
| コーディング / 開発 | HTML/CSS/JS、PHP、CMS運用、ノーコードの制限理解 |
| SEO / 検索対策 | 内部・外部SEO、構造化データ、YMYLとE-E-A-T、Core Web Vitals |
| マーケティング / 分析 | ペルソナ設計、CVR改善、GA4 / GSCの分析 |
| コンテンツ戦略 | SEOライティング、CTA設計、情報設計 |
| セキュリティ / 法務 | SSL/TLS、脆弱性対策、特商法・プライバシーポリシー対応 |
もちろんこれらすべての知識がないと作れないのかというと、そういうわけではありません。
しかし、時と共にウェブサイトに求められるものは進化し、かなりのスピードで進化しつづけています。
この時間は、本来「営業」「商品開発」「顧客対応」といった利益を生み出す時間に使えるはずのもの。
つまり、自作は「安く作る」ではなく、成長のための時間を削る“高いコスト”になるリスクがあります。
特に起業した最初の数年間は税制優遇もあり、成長していくために大切な時期です。
成果が出ない「不安定な品質」と機会損失
ここまでご紹介してきたように、ウェブサイトの制作にはさまざまな知識が必要です。
検索して御社のサイトに訪れてもらうためには、コンテンツやサイトの作りが品質よく作られているか。
サイトに訪れて御社について紹介するために、コンテンツが見やすいか、サイトは使いやすいか、ボタンはちゃんと認識されているか、どんな人でも見やすいように工夫されているか。
お問い合わせに繋がるために、しっかり目立つ工夫はできているか。適切な場所に導線を設置できているか。など様々な要因があります。
これらの不安定な品質で、成果がでないサイトは生まれます。
- 検索されない:SEO設定不足で新規顧客の流入がない
- 伝わらない:情報設計が弱く、強みが伝わらない
- コンバージョンしない:導線設計が不十分で問い合わせに結びつかない
結果、「作っただけで放置されたサイト」になる企業が圧倒的多数です。
こうした状態では、集客の仕組みを持つ競合に勝てません。
フリーランス vs 制作会社 -「プロに任せる」選択にも違いがある
ここまで読んでいただくと、プロに任せた方がいいことがしっかり伝わったのではないでしょうか。
もちろんそれでもやるんだと言う方は止めません!そのやる気と行動こそが事業を成功させる推進力でもあると思います。
プロに任せようかなと考えた方にはさらにウェブサイトを任せる先が大まかに2種類あることを知っておきましょう。
それは、フリーランスと制作会社です。それぞれ明確にメリットとデメリットがありますので簡単にご紹介します。
| 項目 | フリーランス | 制作会社 |
|---|---|---|
| コスト | 低〜中 | 中〜高 |
| スピード | 早いケースもある | 担当工程が多くやや遅め |
| コミュニケーション | 直接やりとりでき柔軟 | 分業制のため複数人対応 |
| クオリティ | スキルにより差が大きい | 一定水準以上が期待できる |
| 継続性 | フリーランスの事情に左右される | 組織体制があるため安定 |
| サポート | 個人依存 | 保守・運用体制あり |
| リスク | 急な音信不通・運用不在の可能性 | 契約・サポート体制でリスクが低い |
フリーランスはコストを抑えたい企業に向いている反面、担当者のスキルと継続性に依存します。
制作会社は費用は高めでも、長期運用と安定した品質・体制を得られます。
すべてのフリーランスと制作会社に当てはまるわけではないため、参考程度にしてください。
弊社は制作会社ですので、制作会社で制作することをおすすめします。
弊社の場合は「サイトを公開してからがスタート」だと考えています。
デザインしている段階は、こうしたらいいのではないかと考えて作りますが、それは机上の空論です。実際にサイトをオープンしてみると、予想とは違うことはいくらでもあります。お問い合わせがないという話ではなく、思っていた導線で使われないなどです。
それを発見して改善していくことで、成果を出せるサイトになります。
フリーランスでもできることですが、制作会社にはそれぞれ担当が存在し、それぞれが高い専門スキルを持っているため、制作会社内で完結します。
フリーランスでも複数人でチームを組んでされる方もいるため、うまくそういったフリーランスチームに巡り会えれば成果を出していけるかもしれませんが、巡り会えるのも確率は高いとは言えないかもしれません。
そのため、運用・サポート体制の整っている制作会社を弊社おすすめします。
経営者が取るべき「戦略的判断」
ウェブサイト制作の本質は、「作ること」ではなく、事業を支える仕組みを育てることです。
| 項目 | 自社制作 | フリーランス | 制作会社 |
|---|---|---|---|
| 初期コスト | 低 | 低〜中 | 中〜高 |
| 制作スピード | 遅い | 早い場合あり | 中 |
| 品質 | 不安定 | 個人差大 | 高品質 |
| 経営者の時間 | 奪われる | 一部任せられる | 本業集中できる |
| 長期運用リスク | 高 | 中〜高 | 低 |
| トータルコスト | 高 | 中 | 高 |
| 費用対効果 | 低 | 中 | 高 |
まとめ
AIの登場でツールが進化し「誰でも作れる」時代になりました。
しかし同時に、SEO、マーケティング、UX、セキュリティ、法務といった周辺領域の重要性は高まり、“中途半端な自作”はむしろリスクになっています。
- 日本企業の 10年後の生存率は3割。集客・売上の仕組みを持たない企業は淘汰されやすい。
- ウェブサイトの「自作」は無料ではなく、時間・知識・リスクの自己負担。
- 成果を出すには、ツール操作以上の知識が必要。
- フリーランスと制作会社にも特徴があり、経営戦略によって最適解は異なる。
- 経営者は目先のコストではなく、5年・10年先を見据えた“投資”として判断することが重要。
ウェブサイトを作ることは、多くの知識と時間と経験が必要です。
華やかな職種にも見えますが、職人のような部分が必要な大変な仕事です。
そのため、大切な時間を使って自社で作成しようとは考えてほしくはありません。
やるべきことは本業に専念することと、自社をPRするコンテンツ作成のみに徹底することです。
これからAIが主流になるにつれ、人が作るコンテンツが重量になってきます。そこにフォーカスしてウェブサイトを作っていきましょう!
サイトを自作したかどうかにかかわらず、サイトがしっかりと作られているか確認もしましょう。
弊社では御社のサイトの現在地がわかる簡単なチェックツールを提供しております。
是非、利用してサイトの状況を把握して次のステップへ進めていきましょう。
簡易チェックツール → 御社のウェブサイトはどっち?Yes or No